【2016年 沼田が読んだ絵本ベスト5】
順位付けは難しいのですけど、特によかった本5冊を挙げてみましょう!
素敵な絵本があったら教えてください!
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5『きんぎょがにげた』1982,五味太郎
五味太郎さんを絵本好きで知らない人はいないでしょう・・・
私もそれほど多く読んでいる方ではないです。ただ、この本は本当によいのです。
これ、タイトルが「金魚が逃げた」なんですけど、内容は最後まで読むとちょっと違うんですね。
実は友達を見つけたくて、1人でいるのが嫌で、逃げ出した金魚の話なんです。
「きんぎょがにげた」「またにげた」みたいな簡単な日本語しか使っていないのですけど、
最後の絵までみると、実は、友達を、そして、恋人探しに行ったのかも、と思うわけです。
だから「仲間を探しに」とかなんですね。きっと。
1人が寂しくって、窓から飛び出していく金魚のことを考えると、ちょっとほろっとするんですよね。
4『あめのむこう』2009,水野翠
雨の向こう側ってどうなっているんだろう?
そんなふうに子ども心に思ったことありませんか?
私はあります。
特に台風とか、ワクワクしちゃって、暴風雨の中、黄色い傘をもって外に出て、
びしょ濡れになり、傘を壊して帰ってきては怒られるという典型的なアホ男子だったわけです。
この物語はもっとほっこりしています。
動物たちが「あめのむこう」に歩いていきます。
ワニさんが仲間を増やしながら歩いていきます。
読んでいると気づくのですが、動物たちがしりとり順になっているんです。
最初わからないんですよね、、、こういう小ネタに。。。
同じ水野翠さんで、「わらってわにさん」という絵本もとっても素晴らしいです。
この二冊はどうも作者が横浜旭区の方らしいということで、会ってみたいものだ。。。
また、漫画で『よつばと!』という漫画があります。この漫画で「たいふう」の話があるのですが、
これと自分の記憶とつながってきます。こっちは大笑い。
3『パパ、お月さまとって!』エリック・カール,もりひさし(訳),1986
エリック・カールといえば『はらぺこあおむし』ですけれど、
こちらのほうが個人的には好きです。
なぜかというと、主人公がパパと娘だからです!(うちは息子だが)
パパが主人公の絵本はママが絵本の主人公の絵本と比べて圧倒的にすくないです。
(これはジェンダー研究でも盛んにやっているでしょうが)
そんななか、エリック・カールはやってくれました。ただの親ばかの物語ですけれども、
こんなにロマンチックに描いてしまうところが絵本作家ですね。
可愛い娘から「お月さまとってきて!」と言われてらどうしましょう?
その答えはここにあります。
娘がいたら、絶対に読むべし。
とってもシンプルなのですが、
夜空の描き方と梯子とちょっとした仕掛けがとっても素敵です。
ちなみに、このお月さまは、『はらぺこあおむし』でも登場してきますね。
梯子を持ったパパの絵はポストカードで売っていないのか、スキャンして取り込もうかと悩むぐらい絵が素敵です。
2『おおきなかぶ』A・トルストイ再話,内田莉莎子(訳) ,佐藤忠良(画),1966
知らない人はいないぐらい有名な絵本ですね。
やっぱり素晴らしいです。
個人的に好きなところは、株を植えてから、大きくなる過程をすっぽりすっ飛ばしているところですね。
「おいおい!そこはどうなった!?」と突っ込みたくなるのですが、
とにかくよくわからない力(?)で大きくなります。
そして、仲間を増やしながら株を抜こうとみんなで頑張るわけです。
で、このときの「うんとこしょ どっこいしょ」「それでもかぶはぬけません」の繰り返しが、
リズミカルで気持ち良いのです。
物語はかぶを抜いて終わり・・・そのかぶはどうなったんだろう・・・と考えるのも楽しいです。
おじいさんが独り占めしたのか、均等に山分けしたのか、それとも領主にでも持って行かれたか。。。
これ、私はソリダリティ(連帯)の話かなって思うのです。
かぶっていうのは、帝政ロシアの巨大な何か、権力の象徴でしょうか?それを打倒するために力を合わせる・・・というメタファーなのかな、と思いました。(なんの根拠もありません)日々の生活では反目し合うおじいさん、おばあさん、まご、いぬ、ねこ、ねずみが利害関係を越えて巨悪(?)に対抗し打ち倒す・・・という物語なのかしら?と考えると非常に可笑しく感じます。ちなみに、おかあさんとおとうさんはどこに行ってしまったの?とか、いろいろ疑問がわき、ちょっと描かれないところにまた、なにかあるのかもしれないと物語の深さを勝手に感じています。
1『はじめてのおつかい』筒井頼子(作),林明子(絵),1977
超有名な絵本。年末年始などの特番でやっているテレビ番組なんかもこれが元ネタなんですよね。
さて、この本、とても素晴らしい本です。何が素晴らしいかというと、いくつかあります。
その1つが終わり方なんですね。
いままで読んできた絵本の中でその終わり方は特に秀逸です。
この物語は、5歳のみいちゃんがはじめてのおつかいに家から出発して、
帰ってくるところまでの物語です。
しかしながら、実際には物語は家にかえる途中で終わってしまうのです。
どういうことかというと、家にかえる途中にお母さんと合流して物語が終わるのです。
お母さんが家で待っていられず、迎えに来てしまうんですね。
初めて読んだときは「え、ここで終わるの?」と思いました。中途半端なんですね。
でも、よくよく考えると、この物語は子どもが「はじめてのおつかい」に出発する物語でもあると同時に、
お母さんが子どもに対して「はじめてのおつかい」を頼む物語なのですね。
最初と最後でしか登場しないお母さんですが、子どもがおつかいに出かけているときのお母さんの様子を思うと2つの時間軸があることがわかります。主人公はおつかいに行くみいちゃんです。でも、裏の主人公はお使いをお願いし、家で待っているお母さんなのですね。その2つの時間が再び一つになって物語が終わるのです。だから、物語を読みながら、「このときはお母さんは何をしているのだろう?どんな気持ちなんだろう?」と考えるととっても味わい深い作品です。傑作ですね。
そしてもう1つ、それは女の子を描く画力ですね。女の子の重心を描くのがすごく上手なんですよね。画力まったくない沼田ですが、なぜこんなに上手に感じるのか・・・ちょっと壁により掛かる、ちょと怯えている、大声で叫んでいる、、、といいったそれぞれの場面での子どもの切り取りかた、絵でみせる体の重心のかかり方がすごく上手に描けていて、臨場感があります。
他にもいろいろと仕掛けがあって面白いです。名作ですね。
素敵な絵本があったら教えてください!
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5『きんぎょがにげた』1982,五味太郎
五味太郎さんを絵本好きで知らない人はいないでしょう・・・
私もそれほど多く読んでいる方ではないです。ただ、この本は本当によいのです。
これ、タイトルが「金魚が逃げた」なんですけど、内容は最後まで読むとちょっと違うんですね。
実は友達を見つけたくて、1人でいるのが嫌で、逃げ出した金魚の話なんです。
「きんぎょがにげた」「またにげた」みたいな簡単な日本語しか使っていないのですけど、
最後の絵までみると、実は、友達を、そして、恋人探しに行ったのかも、と思うわけです。
だから「仲間を探しに」とかなんですね。きっと。
1人が寂しくって、窓から飛び出していく金魚のことを考えると、ちょっとほろっとするんですよね。
4『あめのむこう』2009,水野翠
雨の向こう側ってどうなっているんだろう?
そんなふうに子ども心に思ったことありませんか?
私はあります。
特に台風とか、ワクワクしちゃって、暴風雨の中、黄色い傘をもって外に出て、
びしょ濡れになり、傘を壊して帰ってきては怒られるという典型的なアホ男子だったわけです。
この物語はもっとほっこりしています。
動物たちが「あめのむこう」に歩いていきます。
ワニさんが仲間を増やしながら歩いていきます。
読んでいると気づくのですが、動物たちがしりとり順になっているんです。
最初わからないんですよね、、、こういう小ネタに。。。
同じ水野翠さんで、「わらってわにさん」という絵本もとっても素晴らしいです。
この二冊はどうも作者が横浜旭区の方らしいということで、会ってみたいものだ。。。
また、漫画で『よつばと!』という漫画があります。この漫画で「たいふう」の話があるのですが、
これと自分の記憶とつながってきます。こっちは大笑い。
3『パパ、お月さまとって!』エリック・カール,もりひさし(訳),1986
エリック・カールといえば『はらぺこあおむし』ですけれど、
こちらのほうが個人的には好きです。
なぜかというと、主人公がパパと娘だからです!(うちは息子だが)
パパが主人公の絵本はママが絵本の主人公の絵本と比べて圧倒的にすくないです。
(これはジェンダー研究でも盛んにやっているでしょうが)
そんななか、エリック・カールはやってくれました。ただの親ばかの物語ですけれども、
こんなにロマンチックに描いてしまうところが絵本作家ですね。
可愛い娘から「お月さまとってきて!」と言われてらどうしましょう?
その答えはここにあります。
娘がいたら、絶対に読むべし。
とってもシンプルなのですが、
夜空の描き方と梯子とちょっとした仕掛けがとっても素敵です。
ちなみに、このお月さまは、『はらぺこあおむし』でも登場してきますね。
梯子を持ったパパの絵はポストカードで売っていないのか、スキャンして取り込もうかと悩むぐらい絵が素敵です。
2『おおきなかぶ』A・トルストイ再話,内田莉莎子(訳) ,佐藤忠良(画),1966
知らない人はいないぐらい有名な絵本ですね。
やっぱり素晴らしいです。
個人的に好きなところは、株を植えてから、大きくなる過程をすっぽりすっ飛ばしているところですね。
「おいおい!そこはどうなった!?」と突っ込みたくなるのですが、
とにかくよくわからない力(?)で大きくなります。
そして、仲間を増やしながら株を抜こうとみんなで頑張るわけです。
で、このときの「うんとこしょ どっこいしょ」「それでもかぶはぬけません」の繰り返しが、
リズミカルで気持ち良いのです。
物語はかぶを抜いて終わり・・・そのかぶはどうなったんだろう・・・と考えるのも楽しいです。
おじいさんが独り占めしたのか、均等に山分けしたのか、それとも領主にでも持って行かれたか。。。
これ、私はソリダリティ(連帯)の話かなって思うのです。
かぶっていうのは、帝政ロシアの巨大な何か、権力の象徴でしょうか?それを打倒するために力を合わせる・・・というメタファーなのかな、と思いました。(なんの根拠もありません)日々の生活では反目し合うおじいさん、おばあさん、まご、いぬ、ねこ、ねずみが利害関係を越えて巨悪(?)に対抗し打ち倒す・・・という物語なのかしら?と考えると非常に可笑しく感じます。ちなみに、おかあさんとおとうさんはどこに行ってしまったの?とか、いろいろ疑問がわき、ちょっと描かれないところにまた、なにかあるのかもしれないと物語の深さを勝手に感じています。
1『はじめてのおつかい』筒井頼子(作),林明子(絵),1977
超有名な絵本。年末年始などの特番でやっているテレビ番組なんかもこれが元ネタなんですよね。
さて、この本、とても素晴らしい本です。何が素晴らしいかというと、いくつかあります。
その1つが終わり方なんですね。
いままで読んできた絵本の中でその終わり方は特に秀逸です。
この物語は、5歳のみいちゃんがはじめてのおつかいに家から出発して、
帰ってくるところまでの物語です。
しかしながら、実際には物語は家にかえる途中で終わってしまうのです。
どういうことかというと、家にかえる途中にお母さんと合流して物語が終わるのです。
お母さんが家で待っていられず、迎えに来てしまうんですね。
初めて読んだときは「え、ここで終わるの?」と思いました。中途半端なんですね。
でも、よくよく考えると、この物語は子どもが「はじめてのおつかい」に出発する物語でもあると同時に、
お母さんが子どもに対して「はじめてのおつかい」を頼む物語なのですね。
最初と最後でしか登場しないお母さんですが、子どもがおつかいに出かけているときのお母さんの様子を思うと2つの時間軸があることがわかります。主人公はおつかいに行くみいちゃんです。でも、裏の主人公はお使いをお願いし、家で待っているお母さんなのですね。その2つの時間が再び一つになって物語が終わるのです。だから、物語を読みながら、「このときはお母さんは何をしているのだろう?どんな気持ちなんだろう?」と考えるととっても味わい深い作品です。傑作ですね。
そしてもう1つ、それは女の子を描く画力ですね。女の子の重心を描くのがすごく上手なんですよね。画力まったくない沼田ですが、なぜこんなに上手に感じるのか・・・ちょっと壁により掛かる、ちょと怯えている、大声で叫んでいる、、、といいったそれぞれの場面での子どもの切り取りかた、絵でみせる体の重心のかかり方がすごく上手に描けていて、臨場感があります。
他にもいろいろと仕掛けがあって面白いです。名作ですね。
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