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【FISHMANS TOUR "LONG SEASON 2016" レビュー】[2016年7月14日 (木) 東京・Zepp Tokyo]

2005年のライブから11年の歳月を経て、フィッシュマンズが帰ってきた。
しかしこのライブはどのように位置づけたら良いのか。
11年間で大きく変わってしまった。
それがこのライブで感じた自分の一番の感想だ。
なにが変わったのか。
2005年のツアーはさまざまなゲストボーカルを迎えての
フィッシュマンズ再始動という意味合いが強かった。
そもそも佐藤伸治の死はフィッシュマンズの事実上の解散であり、
その音楽が再現されることはありえないと思っていた。
しかし、その死を乗り越えて、フィッシュマンズは彷徨い泳ぎ続けて、新たな仲間たちと戻ってきた。
2005年のゲストボーカルによって音楽を再編する、新しいフィッシュマンズのスタイルはこの時確立したのだった。
佐藤伸治の代わりはだれにもできないことはわかっていても、
フィッシュマンズを愛好する人々の群れによって、再び蘇る「或るフィッシュマンズ」の物語であった。
それはとてもワクワクするもので、「始まりの音楽」だった。
しかし、今回のライブは「喪失の音楽」もしくはレクイエムのようだった。
それは、たびたび茂木欣一が佐藤伸治について触れていたことと、
茂木欣一自身がメインボーカルを務める楽曲が多かったことにある。
原田郁子はあくまでサポートボーカルで、メインボーカルの位置にいなかった。
これは賛否があるだろう。
彼女の歌う「エブリデイ・エブリナイト」は最高だったが、
すべての楽曲を原田郁子が歌うのはやっぱり違和感がある。
それは、茂木欣一が歌っても同じことだった。
というのは11年間、自分が繰り返し聴いていたのは佐藤伸治ボーカルのフィッシュマンズであり、
私個人の楽曲イメージがそこで固定されてしまったことに原因があるのだろう。
私の中で完成し、完結したフィッシュマンズは、ライブでは再現されないのだった。当たり前だ。
11年という年月はやはり、それなりの時間だった。結構な頻度でフィッシュマンズを聞いていた自分にとっては、佐藤伸治以外のボーカルはやっぱり「違う」と拒否したくなる思いがこみ上げてしまう。
そんなふうに強く感じたライブであった。
茂木欣一が一曲ぐらい歌うのはレクイエムとしてありかもしれないが、やっぱり、茂木欣一はドラムなのだ。
フィッシュマンズのリズム隊がボーカルをやるのはとっても違和感があった。
じゃあ、ライブはひどいものだったのかというと、
ライブはとても気持ち良いものだったし、それはそれで最高だったのだ。
「ひこうき」なんかはデビュー曲とは思えない古びない良さがあった。
予想通り「Long Season」をやりきっていた。
こんなライブのセットリストはないだろうという感じが、
まさにフィッシュマンズだと思う。
最初は二階にいたのだが、我慢しきれず一階に降り、
アンコールの「チャンス」なんかは、スタンド席のかなりの前の方で身体を揺らして酔いしれた。
ただし、この音楽に未来はあるのだろうか・・・と心配になってしまった。
「フィッシュマンズ+」の動きなんかはとっても前向きにとらえていて、
「やくしまるえつこ」とのコラボなんて、らしいなと思っていたし、神聖かまってちゃんの「の子」とのコラボも
ありだと思ったし、サカナクションとの対バンも面白いと思ったのだけれど、この単独ライブはどこへ向かっているのか、
心配になってしまった。
これなら、2005年のスタイルでゲストボーカルをあちこちから引っ張って様々に解釈された
フィッシュマンズを届けるでもよかったのではないか・・・それはそれで聞きたかったのに。
もっと聞きたい曲がたくさんあったが、さすがに「Long Season」をやってしまったら、時間がなくなってしまう。
それはもう仕方がない。
なんだろう、もやもやが残ってしまって、結局、家に帰って、フィッシュマンズのCDを聞いてしまうのだ。
「男たちの別れ」の出来があまりに良すぎて、これを再現されることはないとわかっているのに。
すごくよかった、でもなんだか寂しくなった。そんなライブだった。

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FISHMANS presents "THE LONG SEASON REVUE" 05.11.25 ダイアモンドホール レビュー
http://numa0806.blog.so-net.ne.jp/2005-11-25-1

Fishmans 98.12.28 男たちの別れ(紙ジャケット仕様)(フィッシュマンズと私:沼田真一ライナーノーツ)
http://numa0806.blog.so-net.ne.jp/2009-04-26



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