「東京奇譚集」村上春樹 [読書]
沼田は本をかなり読むほうだが、あまり小説を読まない。
小説を読む、という行為が「暇つぶし」だと感じてしまうからだ。
だから、もっぱら堅苦しい、もしくは新書などで、学習するという点を重視している。が、小説が嫌いなわけではない。読んでおもしろいし、記憶にのこるのはどちらかというと小説のほうだ。けれども、村上春樹は嫌い。もっとも嫌いな作家。読んでいて、沼田の思考が停止してしまうような箇所が多い。具体的には「どうして、このタイミングでセックスし、また、それを小説の中に描くのか?」がよくわからない。「ノルウェイの森」を高校のとき読んで、「これはエロ本だろ?」と思った。
といいながらも、もっとも作品を読んでいるのは村上春樹だったりする。弟が大好きで、いつも家に置いてあったからかもしれないし、よく理由はわからないが、嫌い嫌いといいながら、読んでいる。
そして、「東京奇譚集」。
これは傑作。
個人的には村上春樹の小説なの中でもベスト3に入るかも。
まだ、半分しか読んでいないが、最初ピアノの調律師の話。
サメに子どもを殺された母親の話と、非常にまとまっているし、テーマが「奇譚集」ということで、みえやすい。偶然と必然と不思議な、奇妙なそんなお話をご覧下さいということで、(それが小説としてはあたりまえなのだが、)不思議な話があるのだな、といことが、非常に「うんうん」と素直に作品として読み込める。
どこか今回の短編集は江國香織作品と似ている気がする。
「神の子どもたちはみな踊る」が好きな人にはお薦め。
「忘れっぽいのが悪いんじゃない。忘れることが悪いんだ」
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